確定申告の時期が近づくと、「青色申告」という言葉を耳にする機会が増えますよね。特に、個人事業主やフリーランスの方にとっては、節税効果の高い青色申告は魅力的ですが、初めての方にとっては、手続きや書類、制度の内容など、分からないことがたくさんあるのではないでしょうか?
この記事では、そんな青色申告の疑問を解消し、初心者の方でも理解しやすいように、基礎知識からメリット・デメリット、必要な手続きまでを丁寧に解説していきます。さらに、青色申告を簡単にできるおすすめの会計ソフトやサービス、さらに詳しく知りたい場合の参考資料などもご紹介しますので、ぜひ最後まで読んで、青色申告に挑戦してみましょう!
青色申告とは?白色申告との違い
青色申告とは、日々の取引を帳簿に記録し、その帳簿に基づいて正確な申告を行うことで、税金面で様々な特典を受けられる制度です。 簡単に言うと、きちんと帳簿をつけて申告すれば、税金が安くなるということです。
一方、白色申告は、簡易な帳簿づけで申告できる制度です。青色申告に比べて手続きが簡単ですが、税金面での特典は少なくなります。
青色申告と白色申告の主な違いは以下の通りです。
項目 | 青色申告 | 白色申告 |
---|---|---|
事前申請 | 必要 | 不要 |
帳簿 | 複式簿記または簡易簿記 | 簡易簿記 |
税制上の優遇措置 | 多数あり | 少ない |
対象となる所得 | 事業所得、不動産所得、山林所得 | 事業所得、不動産所得、山林所得 |
青色申告は、特に事業所得が高い方、家族に給与を支払っている方、あるいは事業の収益が変動しやすい方にとって大きなメリットがあります。なぜなら、青色申告では所得から最大65万円を控除できる青色申告特別控除や、家族への給与を経費にできる青色事業専従者給与、赤字を翌年以降に繰り越せる純損失の繰越し控除など、様々な税制上の優遇措置を受けられるからです。
青色申告のメリット・デメリット
メリット
青色申告には、以下のようなメリットがあります。
- 最大65万円の青色申告特別控除:青色申告の最大のメリットと言えるのが、この控除です。所得から最大65万円を控除できるため、税金が大幅に軽減されます。 日本の所得税率は、所得金額に応じて5%から45%まで段階的に上がっていきます。 青色申告特別控除によって課税所得が減るため、税率が低い段階に適用される所得が増え、結果として納める税金が少なくなります。
- 青色事業専従者給与:生計を共にする配偶者や親族に給与を支払っている場合、その給与を経費として計上できます。
- 純損失の繰越し控除・繰戻還付:事業で赤字が出た場合、その赤字を翌年以降の所得から差し引くことができます。
- 貸倒引当金:取引先の倒産などにより、売掛金や受取手形の回収ができなくなる可能性に備え、あらかじめ損失を見積もって経費として計上できます。
- 少額減価償却資産の特例:30万円未満の減価償却資産を一度に経費として計上できます。
デメリット
青色申告には、以下のようなデメリットもあります。
- 事前申請が必要:青色申告をするためには、事前に税務署に「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。
- 帳簿づけが複雑:複式簿記で記帳する場合は、白色申告よりも帳簿づけが複雑になります。
青色申告の種類
青色申告には、主に以下の2種類があります。
- 青色申告特別控除額65万円(または55万円):複式簿記で記帳し、貸借対照表と損益計算書を提出する必要があります。 65万円控除を受けるためには、電子申告または電子帳簿保存を行う必要があります。
- 青色申告特別控除額10万円:簡易簿記で記帳することができます。
青色申告に必要な手続き
青色申告をするためには、以下の手続きが必要です。
- 青色申告承認申請書の提出:青色申告を始めるためには、まず「青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があります。 提出期限は、青色申告をしたい年の3月15日までです。ただし、その年の1月16日以降に事業を開始した場合は、開業から2か月以内に提出する必要があります。 提出を忘れると青色申告ができないため、注意が必要です。
- 帳簿の記帳:日々の取引を帳簿に記録します。 青色申告では、65万円控除を受けるために複式簿記で記帳する方法と、10万円控除を受けるために簡易簿記で記帳する方法があります。複式簿記は、取引を借方と貸方に分けて記録する方式で、財産の状況や損益の発生源を明確に把握できます。簡易簿記は、現金の収入と支出、売掛金や買掛金の増減を記録する方式で、複式簿記に比べて記帳が簡単です。
- 確定申告書の提出:翌年の2月16日から3月15日までに、確定申告書を税務署に提出します。
青色申告承認申請書と開業届を提出する際には、以下の点に注意が必要です。
- 開業届を提出すると、失業保険の受給が終了する可能性があります。
- 複式簿記で記帳する場合、会計処理が複雑になるため、会計ソフトの利用を検討する必要があります。
- 提出した書類の控えは、大切に保管しておきましょう。
青色申告では、帳簿や領収書などの書類を一定期間保存する義務があります。 帳簿書類や決算関係書類、領収証などは7年間、請求書や見積書などは5年間保存する必要があります。
青色申告の対象者
青色申告の対象となるのは、事業所得、不動産所得、山林所得のある個人事業主です。 給与所得者であっても、副業で事業所得などがある場合は、青色申告をすることができます。
初心者でも簡単に青色申告ができる会計ソフト
青色申告の帳簿づけや確定申告書の作成は、会計ソフトを使うと簡単に行えます。初心者の方におすすめの会計ソフトは以下の通りです。
- やよいの青色申告 オンライン
- freee
- マネーフォワード クラウド確定申告
これらの会計ソフトは、銀行口座やクレジットカードと連携して自動で取引データを取得したり、仕訳の勘定科目を自動で提案したりする機能があり、初心者の方でも簡単に帳簿づけを行うことができます。また、確定申告書の作成も自動で行ってくれるため、書類作成の手間を大幅に削減できます。
青色申告についてさらに詳しく知りたい場合の参考資料
青色申告についてさらに詳しく知りたい場合は、以下のサイトや書籍を参考にしてください。
- 国税庁ホームページ
- 全国青色申告会総連合
まとめ
この記事では、青色申告の基礎知識、メリット・デメリット、必要な手続き、種類、対象者、会計ソフトなどについて解説しました。青色申告は、節税効果の高い制度ですが、帳簿づけや手続きなど、初めての方にとっては難しいと感じる部分もあるかもしれません。しかし、会計ソフトなどを活用すれば、比較的簡単に青色申告を行うことができます。
青色申告を検討されている方は、この記事を参考に、ぜひ積極的に挑戦してみてください。
より詳しく知りたい場合は、上記の参考資料を参考にしたり、税理士などの専門家に相談したりすることをおすすめします。青色申告を有効に活用して、節税効果を高めましょう。