会社を設立し、法的に独立した存在とするためには登記が必要です。登記の方法や場所は、事業形態や所在地によって異なります。
目次
- 会社設立登記の必要性
- 登記は単なる登録手続きではない
- 国への届出
- 都道府県への届出
- 市区町村への届出
- 登記要件の最新情報を確認する
会社設立登記の必要性
所在地と事業形態によって、会社設立登記の方法が決まります。これらの要素を最初に決定することで、登記手続きが非常に簡単になります。
ほとんどの中小企業にとって、会社設立登記は、会社名を都道府県や市区町村に届け出ることと同じくらい簡単です。
場合によっては、登記が全く必要ないこともあります。個人名で事業を行う個人事業主の場合、どこにも登記する必要はありません。しかし、会社を設立しない場合、責任の制限、法的利益、税制上の優遇措置を受けられない可能性があることに注意してください。
個人事業主の場合は税務署への開業届、法人の場合は法務局への設立登記が必要です。
登記は単なる登録手続きではない
株式会社や合同会社などの法人を設立することで、個人とは別の法的な存在となり、有限責任などのメリットを享受できます。
国への届出
特定商取引法に基づく表記
通信販売などを行う場合、特定商取引法に基づき、事業者名、住所、電話番号、代表者氏名などをウェブサイト等に表記する必要があります。
税務署への届出
ほとんどの事業者は、税務署への届出を行い、法人番号を取得する必要があります。また、個人事業主や法人は、税務署に開業届や法人設立届出書を提出する必要があります。
商標登録
ビジネス、ブランド、または製品名を商標登録したい場合は、事業を設立した後、特許庁に出願します。
非営利法人の税務上の優遇措置
非営利法人(NPO法人、一般社団法人、一般財団法人など)が税務上の優遇措置を受けるためには、所轄庁(都道府県または内閣府)に申請し、認定を受ける必要があります。認定NPO法人制度や、公益社団法人・公益財団法人制度などがあります。
特例有限会社に相当する税制上の優遇措置を特に設けた制度はありません。
都道府県への届出
事業形態が合同会社、株式会社、合名会社、合資会社、または非営利法人の場合、事業活動を行う都道府県に届け出が必要となる場合があります。
一般的に、以下の場合に、その都道府県で事業活動を行っていると見なされます。
- その都道府県に事業所がある場合
- その都道府県で顧客と頻繁に対面で会議を行う場合
- 会社の収益のかなりの部分がその都道府県から得られている場合
- 従業員がその都道府県で働いている場合
オンラインで申請できる都道府県もあれば、直接または郵送で書類を提出する必要がある都道府県もあります。
ほとんどの都道府県では、都道府県庁の法人事業税担当課に届け出を行います。
事業開始から一定期間内に、事業所の所在地を管轄する都道府県税事務所に「事業開始等申告書」を提出する必要があります。提出期限や必要書類は都道府県によって異なります。
定款認証(株式会社の場合)
株式会社を設立する場合、公証役場で定款の認証を受ける必要があります。
登録免許税
株式会社や合同会社などの法人を設立する際には、登録免許税を納付する必要があります。
外国法人
外国会社が日本で継続して取引を行うためには、日本における代表者を定め、営業所を設置し、法務局に登記する必要があります。
都道府県別の情報確認
各都道府県のウェブサイトで、法人設立に関する情報や、事業開始等申告書の提出方法などを確認できます。
届出書類と費用
ほとんどの場合、会社設立登記にかかる費用は数万円~数十万円程度ですが、費用は都道府県や事業形態によって異なります。
一般的に必要となる情報は以下の通りです。
- 会社名
- 所在地
- 役員、社員、出資者に関する情報
- 事業目的
- 資本金の額(株式会社、合同会社などの場合)
- 発行可能株式総数(株式会社の場合)
必要な書類とその内容は、都道府県や事業形態によって異なります。
事業形態 | 必要な書類(例) | 説明 |
---|---|---|
株式会社 | 定款 | 会社の根本規則を定めた書類。公証人の認証が必要。 |
株式会社 | 登記申請書 | 会社設立登記を申請するための書類。法務局に提出する。 |
株式会社 | 取締役の就任承諾書 | 取締役が就任を承諾したことを証明する書類。 |
株式会社 | 印鑑届書 | 会社の実印を法務局に届け出るための書類。 |
合同会社 | 定款 | 会社の根本規則を定めた書類。 |
合同会社 | 登記申請書 | 会社設立登記を申請するための書類。法務局に提出する。 |
合同会社 | 代表社員の就任承諾書 | 代表社員が就任を承諾したことを証明する書類。 |
合同会社 | 印鑑届書 | 会社の実印を法務局に届け出るための書類。 |
個人事業主 | 開業届 | 税務署に提出する書類。 |
上記は一例であり、詳細は法務局や税理士などの専門家に確認してください。
市区町村への届出
実際には、市区町村に会社設立登記を行う必要はありません。
事業形態が合同会社、株式会社、合名会社、合資会社、または非営利法人の場合、市区町村から許認可を取得する必要がある場合があります。
また、市区町村によっては、屋号を届け出る制度を設けている場合があります。
地方自治体が登記、許認可、届出の要件を決定するため、詳細については各自治体のウェブサイトを確認してください。
事業内容によっては、市区町村の窓口で営業許可や届出が必要となる場合があります(例:飲食店営業許可、古物商許可など)。
登記要件の最新情報を確認する
事業形態によっては、登記後すぐに報告書の提出が義務付けられている都道府県もあります。
法人住民税や法人事業税に関する書類を、都道府県税事務所に提出する必要がある場合があります。これらの届出は通常、事業開始等申告書と呼ばれ、多くの場合、登記後30~90日以内に行う必要があります。
詳細は、所在地の税務署や都道府県税事務所に確認してください。
法人設立後、税務署、都道府県税事務所、市町村役場に、法人設立届出書や事業開始等申告書などを提出する必要があります。提出期限や必要書類は、各自治体によって異なります。